2013年2月20日水曜日

オバマ政権、「暗殺の基準」の波紋


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今月4日、アメリカNBCニュースが、司法省の公式文書(white paper)をスクープした。各国メディアはこれを大きく取り上げている。
 この公式文書は、外国にいる自国民を無人偵察機などで殺害する場合の法的正当性について述べたものである
 「targeting killing(標的殺害)」といわれる、この殺害作戦の主要な設計者の一人は、ブレナン大統領補佐官といわれている。そのブレナン氏が第二期オバマ政権のCIA次期長官に指名されている。そして就任の可否を巡る公聴会前という、絶妙のタイミングでのNBCへのリークであった。当然、上院特別委員会の公聴会は大荒れとなった。
 NBCニュースが入手した16ページの文書(PDF)によると、その基準とは、アルカイダなどのテロ集団であって、(1)アメリカに対し「差し迫った脅威」があること、(2)ターゲットの身柄の確保が難しいこと、(3)武力行使の基準に適合しているものである時、自衛権の一環として、自国民に対してであっても標的殺害は、許容されると述べている。
 問題なのは、肝心の「差し迫った脅威」の定義がされておらず、自衛権の発動だとしても、その要件をかなり拡大してしまう点である。2011年9月には、反米活動の指導者で米国籍を持つアンワル・アルアウラキ師を殺害し、同時にやはり米国籍を持つ雑誌記者サミル・カーンを殺害している。数日後には当時16歳であったアルアウラキの息子も殺害されている。アルアウラキ師については様々なテロ容疑はかかっていたが、正式に起訴されていたわけではないし、具体的なアメリカの攻撃計画があって殺害されたわけでもない。残る二人については、容疑すらかかっていなかった。
 これでは、アメリカ政府が「脅威」と認定したならば殺害してもいいということに等しい、と思えてしまう。オバマ大統領は、無人機による殺害作戦を活発化させている。ブレナンがCIA長官になれるかどうか、あまり日本では報道されていないかもしれないが、その影響は今後大きいかもしれない。


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